千羽鶴折形 序(せんばづるおりかたのはしがき)
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大昔 聖の代の唐歌に 鶴九皐に啼く その声 天に聞こゆと 諷う辛氏が酒旗の舞 鶴は巨万の寶を得ると明の劉基も作られたり ここに数の鶴を折れる法あり これぞすなはち長生 延寿の兆とて 自らも折りてみれば一の鶴に 千歳の齢あれば百の鶴に十万の寿あり 千の鶴には百万歳の齢を保つめでたきためし
これなん初春の初子の今日のもてあそび 手にとるからに延ぶる寿といふ事を ここに染むるものならじ 寛政九つなる 巳の年 新しき春の明日 玉しく 庭の下仕へ 青女房露菊記す
鶴の寶長(つるのほうちょう)
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寿の たからは 長し 幾千世も 君へささぐる 鶴の寶長
林和靖(りんわせい)
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寵愛に 雛鶴太夫 身請けして ちとせもりんと 林和仙人
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昔よりある 常の鶴のおりやう 何れも此通りに折 奥の図のごとく つなぎ折りにするなり
千羽鶴折形 目録(せんばづるおりかた もくろく)
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鶴のおりやう
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一 鶴の折りやうは半紙か美濃紙か薄くかたき紙にて それを 四方にとり 常の鶴を折るを定規とす いずれにても 左の折形の如く紙に切目を入れ 折るときは少しも紙の切 くず出ず 上の図のごとく自在に折れる也 大小はおのが 心次第たるべし 何れも大小ともに四方にとれば 鶴になる四角に余れる所を折込む也 二つ三つも折る時は 忽工夫つきて いと心やすく折れるなり 又金紙 銀紙 行成紙なとにて折れはいと美く見事なり
一 図毎に銘あるは其形による也 狂歌は銘によりて詠るなり 恋の言葉に寄は かはらぬ笑い講にとて興ずるのみ也 必ずしも折りやうの手段にはあらず
一 此鶴の折形は勢陽九花魯縞庵の主 数の歳月 手慰にせられし也 こたひ是を拾ひてはつかにここに あらはすなをいろいろの折形多し 後編に出す