ご無沙汰しております。m(_ _)m
「連鶴資料集 -魯縞庵義道と桑名の千羽鶴-」を久しぶりに読みました。
素雲鶴に載っている「鶺鴒」と同じ図の題名が面白い!!!と思ったので記事にしました。
鶺鴒について
鶺鴒とは、秘伝千羽鶴折形に載っている連鶴の1つで、こちらのように2羽の折鶴がつながっている作品です。
日本書紀の「国産み」の章を描いていて、連鶴の作成過程でもイザナギ、イザナミによる国産みの様子を表現している素晴らしい作品です。
何で鶺鴒が日本書紀?と思われた方は、過去記事にもまとめたのでこちらもご覧ください。
鶺鴒の謎
誰が鶺鴒と名付けたのか
鶺鴒は秘伝千羽鶴折形に載っている連鶴の中でもかなり特殊な作成過程で、しかも、その作成課程には意味があります。
となると、誰が鶺鴒と名付けたのでしょうか?
岡村昌夫先生「つなぎ折鶴の世界 -連鶴の古典『秘伝千羽鶴折形』」の鶺鴒の解説の中でも
作者(魯縞庵)が題を付けたのではないかということになり、一般に編著者(離島)が命名したと思われる中で、その意味でも特殊な作品と言えるでしょう。
岡村昌夫先生「つなぎ折鶴の世界 -連鶴の古典『秘伝千羽鶴折形』」より
というように、鶺鴒と名付けたのは魯縞庵義道なのではないかと言及する程でした。
秘伝千羽鶴折形の作者について
ここで、何で名付けた人の事なんか気にしているのか?作者が名付けたんじゃないの?と思われる方もいるかもしれません。
秘伝千羽鶴折形の作者は
- 魯縞庵義道: 連鶴考案
- 秋里籬島: 編著
- 竹原春泉斎: 絵師
といわれていて、連鶴を考案した人と執筆した人が異なるんですね。
なので、あれだけ特殊な作成過程を踏む鶺鴒は、執筆者ではなく連鶴考案者が名付けたのではないか?という疑問が出てくる訳なんです。
素雲鶴について
素雲鶴は、秘伝千羽鶴折形が発行される前に魯縞庵義道が書いた連鶴の書物です。
魯縞庵義道が素雲鶴というものを残しているらしい、という記録はあるものの長い間見つかっていなかったので現存しないものだと思っていました。
しかし、なんと2014年11月に発見されたらしいのです。
歴史的発見ですね。
なお、素雲鶴には秘伝千羽鶴折形のように完成図は一切無く、切り図と題名だけしか載っていません。
どちらかというと本人が忘れないためのメモのような書物でした。
素雲鶴の中には、秘伝千羽鶴折形にある作品と同じ切り図のものもありました。
素雲鶴にある鶺鴒について
素雲鶴から鶺鴒と同じ切り込みである図案を見てみると…
(「連鶴資料集 -魯縞庵義道と桑名の千羽鶴-」より、拝借しました)
「陰陽」と名付けられていました…!
日本書紀の「国産み」の章の原文でも、イザナギ、イザナミのことは陽神、陰神と書かれています!!
魯縞庵義道はストレートにイザナギ、イザナミの事を表し「陰陽」と名付けていたと言っていいのではないでしょうか。
まとめ
- 魯縞庵義道は素雲鶴で「陰陽」とストレートに名付けていた
- 秋里籬島は秘伝千羽鶴折形を執筆するときには、イザナギ、イザナミが困った時に登場する「鶺鴒」とした
イザナギ、イザナミのストーリーをしっかり踏襲しつつ、そこに登場する鶺鴒を描くことで奥深くなりましたね。
イザナギ、イザナミが困った様子、そこに鶺鴒が飛んできて止まる様子、それを見てハッとする様子等など、色々な情景が思い浮かびませんか?
本当に素晴らしい作品です。