秘伝千羽鶴折形にある狂歌の元歌まとめ

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完全に個人的なメモみたいな記事です。

秘伝千羽鶴折形には49種類の連鶴に狂歌(五七五七七)が添えられているんですが、他の和歌や俳句をもじった歌もいくつかあるんですね。

狂歌ともじられた元歌をまとめました。

稲妻(いなづま)

稲妻や 昨日は東 今日は西 祇園朱雀の 色に浮かれて

いなづまや きのうはひがし きょうはにし ぎおんしゅじゃかの いろにうかれて

元歌

稲妻や 昨日は東 今日は西

いなづまや きのうはひがし きょうはにし

宝井 其角

稲妻(いなづま)

妹背山(いもせやま)

結びては 妹背の山の 中に折れる 吉野の紙の よしや離れぬ

むすびては いもせのやまの なかにおれる よしののかみの よしやはなれぬ

元歌

流れては 妹背の山の 中に落つる 吉野の川の よしや世の中

ながれては いもせのやまの なかにおつる よしののかわの よしやよのなか

古今和歌集 よみ人しらず

妹背山(いもせやま)

蕣(あさがお)

朝顔や 鶴瓶取られて 貰ひ水 ついでに千代と 目で知らす暮

あさがおや つるべとられて もらいみず ついでにちよと めでしらすくれ

元歌

朝顔や 鶴瓶取られて 貰ひ水

あさがおや つるべとられて もらいみず

加賀千代女

蕣(あさがお)

夢の通ひ路(ゆめのかよいじ)

有明の 月もるねやを こそこそと 夢の通ひ路 一間こゆらん

ありあけの つきもるねやを こそこをと ゆめのかよいじ ひとまこゆらん

元歌

住江の 岸に寄る波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ

すみのえの きしによるなみ よるさえや ゆめのかよいじ ひとめよくらん

小倉百人一首 藤原敏行朝臣

夢の通ひ路(ゆめのかよいじ)

つく羽根(つくばね)

突く羽根の 娘もついに 嫁となり 恋ぞつもりて 子持ちとぞなる

つくばねの むすめもついに よめとなり こいぞつもりて こもちとぞなる

元歌

筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞ積もりて 淵となりぬる

つくばねの みねよりおつる みなのがは こひぞつもりて ふちとなりぬる

小倉百人一首 陽成院

つく羽根(つくばね)

雛遊び(ひなあそび)

見渡せば 芸子白人 こきまぜて 柳桜の 雛遊びなり

みわたせば げいこはくじん こきまぜて やなぎざくらの ひなあそびなり

元歌

見渡せば 柳桜を こきまぜて 都ぞ春の 錦なりける

みわたせば やなぎさくらを こきまぜて みやこぞはるの にしきなりける

古今和歌集 素性法師

雛遊び(ひなあそび)

三巴(みつどもえ)

悋気から 輪廻のめぐる 三巴 我を祭らん 宇治の橋姫

りんきから りんねのめぐる みつどもえ われをまつらん うじのはしひめ

元歌

さむしろに 衣かたしき 今宵もや 我を待つらむ 宇治の橋姫

さむしろに ころもかたしき こよひもや われをまつらん うじのはしひめ

古今和歌集 よみ人しらず

三巴(みつどもえ)

比翼(ひよく)

天にあらば 比翼の契り 楽しまん 霞の蒲團 雲どりの夜着

てんにあらば ひよくのちぎり たのしまん かすみのふとん くもどりのよぎ

元歌

天にあらば 比翼の鳥 地にあらば 連理の枝

てんにあらば ひよくのとり ちにあらば れんりのえだ

長恨歌 白居易(中国、唐の詩人)

比翼(ひよく)

蟻の塔(ありのとう)

恋しさは 同じ心に あらざらん 蟻の塔積む 文のかずかず

こいしさは おなじこころに あらざらん ありのとうつむ ふみのかずかず

元歌

恋しさは 同じ心に あらずとも 今宵の月を 君見ざらめや

こいしさは おなじこころに あらずとも こよいのつきを きみみざらめや

拾遺和歌集 源信明

蟻の塔(ありのとう)

瓜の蔓(うりのつる)

忍ぶれど おなかの中に 瓜の蔓 物やあらふと 人の問ふまで

しのぶれど おなかのなかに うりのつる ものやあろうと ひとのとうまで

元歌

忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで

しのぶれど いろにいでにけり わがこいは ものやおもうと ひとのとうまで

小倉百人一首 平兼盛

瓜の蔓(うりのつる)

釣船(つりふね)

妓王妓女 仏ももとは 凡夫なり 妻恋ふ鹿も 尼をつりふね

ぎおうぎにょ ほとけももとは ぼんぷなり つまこうしかも あまをつりふね

元歌

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣り舟

わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね

小倉百人一首 小野篁

釣船(つりふね)

参考文献

つなぎ折鶴の世界 – 連鶴の古典『秘伝千羽鶴折形』
岡村昌夫 著